人生が変わる呼吸法

呼吸法

こんにちは、矢島秀人です。

ずっと不思議に思っていることがあります。

人間は、何も食べなくても数週間は生きられる。しかし呼吸を止めると、わずか数分で死んでしまう。

それなのに、食べ物には気をつける人でも、呼吸について無関心なのはなぜなのか?

本当に不思議でたまりません。

決して大げさな話ではなく、呼吸の仕方が変われば人生は大きく変わります。

呼吸とは、常に休みなく行われる営みであり、その呼吸の仕方によって心身に多大な影響を与えるのは当然のことです。

呼吸をしっかり行えば、身体は疲れにくく集中力が高まります。気持ちは穏やかになり心も癒されます。

今よりも健康で、ずっと快適な生活を送ることができるでしょう。

しかし、それだけ重要にも関わらず、現代人はいつしか呼吸の仕方を忘れてしまいました。

日常生活で肚(ハラ)に力を入れる必要性が減り、お腹で深く息をするという文化が急速に失われつつあるのです。

そこで当記事では、呼吸の重要性について触れながら、より効果的な実践法について紹介します。

矢島秀人
この機会に、自分自身の生き方の問題として、息の仕方とじっくり向き合いましょう。

なぜ、日本人は呼吸の仕方を忘れてしまったのか?

日本語には「腹が据わる」という表現があります。

はらがすわる【腹が据わる】
物事に動じない。度胸がある。落ち着いている。

出典:三省堂

要するに、緊急のことに処しても落ち着いて判断できるということ。

プレッシャーのかかった状況でも、冷静な判断を下すことができる状態です。

このような状態は、お腹で深い呼吸をすることで可能になります。

例えば、息がハアハアしている人を見て、我々は「この人は焦っている」とか「心理的に追い込まれている」とか判断します。

相手の呼吸を読んで、その人の心理的状況を捉えているのです。

ほかにも、誰かに何かを言われてはっと息を飲めば、息が止まる。

プレッシャーがかかれば、息苦しくなる。ふと何かを思い悩んでは、息詰まる。

このように呼吸というのは、心理、心の在り方とセットであり、肉体と精神を結びつける重要な役割を果たしています。

しかし、戦後日本ではこと身体文化に関して、さまざまな理由でほとんど教育が行われてきませんでした。そのツケが、今いたるところで顕在化し、社会のあらゆる面で悪影響を及ぼしているように思います。

かつての日本人は、強い呼吸力を持っていました。大人も子供も、武士も職人も、呼吸というものが生活の一部になっていたのです。

火をおこす、水をくむ、土を耕す、稲を刈る、薪を割る、重い物をかつぐ…。

どれもみな、腹の底に深く息を吸ったり、ぐっと止めたり吐いたりしなければ、力を込めることができない動きです。

「書道」なんかも、まさにそう。筆の運びと呼吸との関係がストレートに文字に現れます。

一息でまっすぐ線を引かなければいけないところで息を吸ったら、流れが途切れてしまい伸びやかな線は生まれません。

筆を止めるところでは、息を溜める。また、筆を跳ねるところではすっと吐き、筆を抜くところでは息もゆるめて吐いていく。

緩急をつけながら一息で書いた文字には勢いがあります。筆づかいは、そのまま息づかいでもあったわけです。

このように昔の人は、日常生活を送るうえで深い呼吸というものが不可欠でした。

そして、「吸う」「溜める」「吐く」それぞれにコツがあり、それを人々は技として身につけていたのです。

大正時代に大流行した「丹田呼吸法」と呼ばれる呼吸法があります。丹田とは、おヘソから指三本分(約5cm)下の位置をいいます。

丹田を軸にして、息を長く、ゆるく吐く。

腹力を鍛えるのに適した呼吸法で、当時は知らぬ人がいないくらい有名なものでした。

現代人の半数以上が慢性的な「過呼吸状態」

ストレス

では、現代ではどうでしょうか?

現代人の多くは、デスクに座りっぱなしの仕事や過度のストレス、不規則な生活などで、慢性的な「過呼吸状態」に陥っています。

多くの人は、浅く落ち着きのない口呼吸をしている。鼻を通さずに、胸だけで浅い呼吸をしている。

なかには、それすらマトモにできず、息を吸ってばかりの人もいる。

それが、「過呼吸」「過換気」という症状です。

一見体に取り込む酸素が増えるのはいいことだと思うかもしれませんが、健康のためにはむしろ呼吸は減らすべきです。

これは、「太りすぎの一般人」と「プロのアスリート」が重たい荷物を運ぶシーンを想像してみるとよく分かると思います。

息を切らせ、たくさん呼吸をしているのはどちらでしょう?

もちろん、太りすぎの一般人のほうですよね。

意外かもしれませんが、健康を妨げる一番の要因は「慢性的な過呼吸」です。

そして現在、世界の先進国では、無意識による過呼吸がまるで流行病のように広がっています。

慢性的な過呼吸は、健康状態の悪化や体力低下の原因となり、仕事や運動のパフォーマンスを著しく下げます。

さらに、「不安障害」「喘息」「倦怠感」「不眠」「心臓病」といった症状を引き起こし、「肥満」の原因になることもあるそうです。

単なる呼吸のし過ぎくらいで、大げさだと思う方もいるかもしれません。

しかし、呼吸は心身のあらゆる面に多大な影響を及ぼします。

どんなに念じても心臓の血圧や心拍数をコントロールすることはできませんが、静かでゆったりとした呼吸を行えばものの数分でその数値を変えることだって可能です。

つまり原理的には、呼吸を整えることで現代医学や医者でも立ち入ることができない、身体のさまざまな領域をコントロールすることができるわけです。

正しい呼吸法とは?

理論

①全身でゆったり呼吸をする

真人の息は踵(かかと)を以てし、衆人の息は喉(のど)を以てす。

- 荘子 -
(中国の思想家)

一般人(衆人)は口だけで浅い呼吸をしてしまうが、悟りを開いた仙人レベル(真人)は足裏で呼吸をするという意味です。

全身でゆったりと呼吸をすることで、

・染みとおる
・浸される
・満たされる

といった感覚が湧いてきます。

地球との一体感が感じられ、足の裏から大地の気を吸い上げ、頭のてっぺんまで達するような感覚が味わえるでしょう。

一方、多くの日本人の呼吸は決まって「真面目で急ぎ過ぎている」。

そんなに焦らず、ゆっくりと呼吸することを大切にしてください。

静かで、緩やかで、鼻呼吸で、腹式呼吸で、リズムが一定していて、吐いてから小休止が入る。

これが正しい呼吸の方法です。

正しくできていれば、静かで、規則正しい呼吸をしているはずです。逆に、口だけで浅い呼吸をしていると、息遣いが荒くリズムも一定しません。

途中でよく分からなくなったら、「自分の心と体がラクになったかどうか?」を自問してみてください。

自分の心と体がラクになった感じがするなら、多分正解です。もしどこか息苦しいようであれば、何かが間違っていると考えてよいでしょう。

 

②口ではなく「鼻呼吸」

矢島秀人
そして、もう1つ忘れてならないのが「鼻呼吸」です。

最近では口で呼吸する人も増えていますが、呼吸は正しくは鼻でするもの。

生理学の観点からみても、口呼吸をすると胸が動く「胸式呼吸」になりますが、鼻呼吸をするとお腹が動く「腹式呼吸」になります。

医学的にも、口呼吸が習慣化すると、ノドの奥の扁桃気管が乾燥し、免疫系にさまざまなダメージを与えると言われています。

例えば、アトピーや喘息、花粉症などの免疫系のトラブルは、正しい呼吸法を身につけるだけで症状が軽減するという研究結果が出ているほどです。

実際、口呼吸だと脳が働きにくく、集中力も続きません。

鼻から息を吸うことで、脳にも酸素が行き渡りやすくなり、意識が覚醒して精神も安定するのです。

遡ると人類は太古の昔から、ずっと鼻呼吸をおこなってきました。

口呼吸になるのは命の危険が迫ったときだけで、咄嗟に体を動かすために口から大量の息を吸い込みます。

はっと驚いたとき反射的に口から息を吸ってしまった経験は誰でもあると思いますが、口から勢いよく息を吸うと体は一気に緊張します。

つまり、口呼吸とは緊急事態のサインであり、脳が強いストレスを感じている状態を再現してしまうわけです。

さらに言えば、ゆったりとお腹で深い呼吸をしている状態で人は怒ることができません。

今度怒っている人やイライラしている人がいたら、ぜひ観察してみてください。人が感情的になるとき、必ず「ハッ」「ハッ」「ハッ」と浅い口呼吸をしているはずです。

一方、通常よりもストレスレベルの低い人は、ペースは遅く、静かで、自然な鼻呼吸をしています。

長年にわたって口呼吸だった人が、突然鼻呼吸に変えるのは抵抗があるかもしれません。

しかし一度身につけてしまえば、口呼吸よりも鼻呼吸のほうがずっとラクで、はるかに効率もよくなります。

安静時は、常に鼻呼吸をするよう心掛けましょう。

 

③理想は赤ちゃんの呼吸

もう1つ大事なポイントがあります。

それは、赤ん坊の呼吸に習うということ。

大人と比べると、赤ちゃんの寝ている姿は自然そのものです。現代のライフスタイルの影響を受けてない、まさに理想的な呼吸をしています。

吸ったり吐いたりするたびに、体全体が大きく波打つように上下し、横隔膜(※)が静かに伸張と収縮を繰り返す。

無理をしているところも、無駄な力みも一切ありません。

正しい呼吸法を知りたければ、赤ちゃんの呼吸をよく観察してみると色々発見があって面白いです。

横隔膜の場所とは?

一番下の肋骨に手を当て、肋骨を体の中心から脇に向かってなぞる。ここが横隔膜のある場所です。

 

実践

最後に、より効果的な実践法について紹介します。

臍下丹田
  1. 自分の呼吸の波に、全身を浸す(ひたす)ようにします。
    潮の満ち引き、あるいは波の打ち返しのように、丹田で息を感じながら呼吸の波を感じましょう。
  2. 息がゆったりと入ってきて、呼吸の波が頂点まで達したらゆっくりと落ちて、吐ききったら再び上がってくるイメージです。
    このとき、顔の皮膚までリラックスさせて、舌の力も抜きましょう。
  3. ①②をくり返します。ポイントは、息をゆったりと全うさせ、呼吸をジャマすることなく感じとること。
    また、お腹がしっかりと動いているかを確認してください。

 

以上、これが正しい呼吸法です。

疲れたときなど仰向けになって、これを数分間やるだけで凄くリラックスします。

特に、短時間でさっとリフレッシュしたいとき、頭や気持ちをスパッと切り替えたいときに有効です。

 

◎実施するうえでの注意点

いくつか注意点をお伝えします。

まずひとつ目が、あまり細かいルールに縛られないで欲しいんです。

世の中にはさまざまな呼吸法があります。

・瞑想呼吸法
・ヨガ呼吸法
・丹田呼吸法
・システマ呼吸法
・4-7-8呼吸法
・3-2-15呼吸法


ネットを使えばあらゆるメソッドを調べることができます。

もちろん、お気に入りの方法を一つか二つ覚えて日々実践するのもよいでしょう。

それなりの効果が期待できると思います。

ただし、そこまで深刻に考える必要はありません。

矢島秀人
なぜなら、◯秒吸って、△秒止めて、秒かけて吐くとか…。そんなのは取ってつけたルールに過ぎず、万人に適応することは不可能だからです。

例えば、

「息を吸うのは4秒じゃなきゃいけない。5秒になったダメ!」

なんてことは絶対あり得ませんよね。

肺活量や心拍数、身長や体重、肺の大きさや血液の量などはそれぞれみんな違います。

つまり、人によって心地よいと感じる程度は異なるのです。

それこそ、「毎日部活で体を鍛えまくっている若者」と「運動する習慣が全くない高齢者」ではまるっきり基準が変わってくるのは当然だし、その日の体調やコンディションによっても変化します。

なので、何より重要なのは、あなたが一番リラックスできる深呼吸をすること。

どんな情報よりも、まず第一に自分の感覚を信じることを忘れないでください。

そして2つ目が、

・ゆっくりと少しずつ息を吐くこと
・体内の空気をすべて出し切るイメージでしっかりと吐き切ること

この2点を意識すること。

実際にやってみると分かるのですが、息を長くゆるく吐く場合、口をすぼめて”フー”っと吐くほうがやりやすいと感じる方もいるかもしれません。

その場合は、口から吐いても「OK」です。

ただし慣れてきたら、鼻から吸って、鼻から吐くようにしてください。

さらに、リラックス効果が高まり、脳が覚醒しやすくなります。

矢島秀人
あとは、とにかく朝起きたら気持ちのいい空気に包まれながら、3〜5分ほどゆったりと深呼吸をしてみましょう。

朝以外にも、仕事の休憩時間、通勤電車の中、夜寝る前など…。ちょっと空いた時間を利用して、深呼吸するクセをつけると体はどんどん元気になっていきます。

最初は難しく感じるかもしれませんが、何度もやっていくうちに自分なりのリズムも段々と掴めてくるはずです。

最後に

心身をリラックスさせるための、あらゆるプロセスは呼吸から始まります。

つまり、正しい呼吸を身につけることで、体をゆっくり休めたいときや心安らかな状態にしたいとき、いつでも自分の体を安息地帯」にすることができるわけです。

ただし、あまり神経質になることはありません。

何より大切なのは、

「息をするのがラクな感じ」
「ラクに息ができる感じ」

といった自分の感覚を疑わないことです。

経験上、リラックスとは一生かけても到達できない奥の深いものであり、解決するかのように見えて永遠に完結することはありません。

最初は上手くいかなくても、何度もトライしながら少しずつ感覚を掴んでみてください。

それでは長くなりましたが、このへんで終わりにします。

読むのが大変だったと思います。

でも、読んでくれてありがとうございました。

呼吸法

ABOUT運営者

現代社会で生きることを早々と諦め、ノマドになる。税金や法律の都合上、2013年に一人株式会社設立。現在は海の町で暮らしながら、主に執筆活動・企業コンサル・FXトレードなどを行い、個人ビジネスの究極形を追求している。波乗りと自然と平和が好き。ブッダを敬愛してやまない。