どうも、矢島ヒデです。
ここ数年、巷では『速読術』なるものが流行っています。
過去記事でも書いたとおり、企業の広告戦略にハマり、おかしな幻想を抱いている方も少なくないわけですが・・・。

大前提として、『ゆっくり読んで意味の分からない文章』は絶対に速読なんてできません。
例えば、どんなに速読をマスターしても、全く予備知識のない”専門書”はどうあがいたって読めないですよね・・・。
それは土台無理な話です。
確かに、文面を写真のように覚えてしまう記憶法は一応あるので、そのページを丸ごと暗記することは可能かもしれません(一部の天才であれば)。
しかし、だからといって完全に意味が捉えられるわけでは当然ない。
そんな浅い理解では具体的な行動に反映することもできないし、何万冊読もうが使いモノにならない知識がひたすら溜まっていくだけです。
それよりも、まずは『精読』。これが全ての基本になります。
そこで今回は、本当に意味のある読書とはどのようなものかを考察し、”バカになる本の読み方”と”進化できる本の読み方”の違いについて書いていきます。
特に、「本を読んでも結果に繋がらない!」「すぐに内容を忘れてしまう…。」という方はぜひ参考にしてみてください。
日本人の3人に1人は日本語が読めない説

国際機関『OECD(経済協力開発機構)』による調査では、
”日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない”
という衝撃の事実が明らかになりました。
この結果は、僕自身が企業のコンサルタントをしたり、色んな人の文章を添削したりするなかで強く感じていたことではあるのですが、みんな驚くほど何も読めていない。
なかには、僕のブログやメルマガに感想を送ってくれる人もいますが、目を疑うほどマト外れな感想ばかりなのです。

でも、細かいところで意味を履き違えていたり、一部理解し損ねている箇所があったり、あるいは勘違いしたまま覚えていたり・・・。
残念ながら、こちらの意図が伝わってないケースが大半です。
確かに、ブログやメルマガという特質上、どうしても上からざーっと流し読みする人が多いのは分かります。
それも踏まえ、ある程度理解できるように書いてはいるつもりなんですが、どうしても真意が伝わらない場合があるんですよね。
とはいえ、その文章で筆者が本当に伝えたいこと、つまり本質の部分を捉えられないのであれば、いくら文章を読んでも何の意味もありません。
それは、ただ単純に文章を読み上げる能力を鍛えているようなもの。そんなことを繰り返していても、読書本来の目的である”思考力の向上”はいつまで経っても望めないでしょう。

また、簡単な『要約』をしてみるのも良いと思います。
ただ読むだけではなく、読み終えた本を自分なりの言葉で要約する。目安としては100ページ100字、単行本1冊で大体200字くらいの感覚で始めてみるのがおすすめです。
言葉を丸暗記するわけじゃないので、多少元の表現とは変わってくるかもしれません。しかし、一度自分のフィルターを通した言葉が、また自分にとって”納得感”の持てるものであれば自然と記憶にも定着してくるはずです。
逆に、この程度の要約が書けないのであれば、それは文章が読めてないということ。あるいは、読めていると思い込んでいるだけで記憶がされてない状態だと言えます。
当然、そんな浅い理解のままじゃ実践では活かせません。
どうか自分の言葉で説明できてこそ、その言葉に従って行動できるようになるということを忘れないで欲しいと思います。

正しい精読のやり方

精読とは?
【精読】
細かいところまで、ていねいに読むこと。熟読。出典:デジタル大辞泉
精読とは、一言でいえば”ちゃんと読む”ということ。
要するに、
・論理関係
・言葉(内容)
この両方に注意しながら正確に読んでいくことです。
当然、論理だけを抑えてもダメ、内容だけを抑えてもダメ。この2つの側面を同時に満たすことで、筆者が”その文章で何を言いたいのか”を理解することができます。
そして、”その文章で何を言いたいのか”というのは、つまりその文章が書かれた理由であり、筆者の世界に対するメッセージでもあるのです。

”正確に読む”とは?
では、”正確に読む”とは一体どういうことなのか?
一応、僕は以下のように定義しています。
『正確に読む』とは?
①論理関係を正しく把握する
②言葉の意味(その文脈に固有の意味)を正しく把握する
正しく読むためには、当然『論理関係』を正しく把握しなければいけません。
そして、もう1つは『言葉の意味』。
言葉というのは、場面によっても微妙にニュアンスが異なるものなので、どういう文脈のなかで、どんな意図を持って使われているのかという部分までしっかりと考慮しながら読んでいく必要があります。
つまり、自分勝手に解釈した”言葉”として捉えてはいけないのです。
例えば、本の中に『ブルー』という言葉が出てきたときに、単純に『青い』と解釈して満足してはいけないということ。
それは、海の青なのか、空の青なのか。それとも、信号機の青なのかという所までしっかりと読み取る。
どういう意味で、筆者は『ブルー』という単語を使ったのかという部分まで読み取ることで、初めてその文脈を正しく把握したと言えるのです。

精読する際の注意点
論理関係というのは、ある種『客観的』なものです。
つまり、僕にとっての論理と、あなたにとっての論理がまるっきり食い違うことはあり得ないわけです。

で、その論理というのは客観的なものなので、ある程度ルールと構造さえ分かってしまえば、それほど難しい話ではありません。
なぜなら、全て同じものだからです。例えるなら、『1+1=2』みたいな感じで、 慣れてくれば誰でも簡単に把握できるようになるでしょう。
一方、”言葉の意味”というのは、使う人や文脈によっても変わってくるので、これを正しく把握するのは中々難しいんですよ。
ちなみに、辞書で使われている意味はあくまで参考程度です。
それよりも、その文脈のなかで使われている意味をなるべくそのまま読み取るよう心掛けること。
これが基本になります。
なかには、一般的な意味とは真逆の意味で使われている場合もあるでしょう。
そのため、かなりの訓練を積んでおかないと、本来の意図と履き違えてしまうケースは往々としてあるわけです。
例えば、大学の入試問題でも、本文に書かれていることを根拠に「このときの筆者の気持ちを選びなさい」という設問が出されることがありますが・・・。
その正答に対して、毎回筆者から「そんな気持ちじゃないぞ!」というツッコミが入るそうです。
そもそも、入試問題では明確な『答え』を準備しなければいけません。そのため、論理が優先されてしまうのも仕方ない話ですが、筆者からすれば完全に論理を重視しているとは限らないんですよね。
つまり、論理が分かっても意味が分からない。意味が分かっても論理が分からない。
どちらのケースもあり得るので、”論理と意味、両方押さえて初めて文章として意味をなす”ということを肝に命じて欲しいなぁと思います。
最後に伝えたいこと
ここまでの話をまとめると、以下の通り。
・とにかくまずは精読
・論理把握
・内容(意味・言葉・知識)把握
・自分の言葉で要約を作る
何度も言ってますが、読書の基本は”精読”です。
たまに途中で分からない単語に出くわしたとき、それを飛ばし読みちゃう人もいますが、これは絶対NG。
なぜなら読書をするうえで、そこで書かれている全情報を正しく把握する、つまり本質を捉えようとする意識が何より重要になってくるからです。
そのためにも、本文中で分からない箇所があったら、まずはそれを辞書で調べてみる。それでも分からなければ、過去の文献をあたるなり、もっと詳しく言及している文献を探すなり、漢字の語源を調べるなり・・・。
とにかく、筆者の世界に対するメッセージをきちんと汲み取ることが、読書の第一歩なのです。

だって、文章を書くなんてマジで面倒くさい。それなのに、筆者は何かを伝えるために一生懸命書いているわけです。
特に良い本は、かなりの時間と労力を費やし、自分の魂を削りながら書かれいるといっても過言ではありません。
それをパパっと読んでやろうという、その薄っぺらい態度がいただけない。
振り返ってみると、人生で困ったときに助けてくれたのは、いつだって人か本でした。
だったら、両方同じくらい大切にすべきだし、筆者の想いをきちんと受け取ってやることが最低限の礼儀だと考えています。
以上、精読に関するお話でした。
最後まで読んでくれてありがとうございます。