どうも、矢島ヒデです。
よく巷では、
・考えてから行動する
・行動してから考える
という相反することが言われています。
例えば、
「十分に考えたうえで行動しないと、失敗のリスクが高いよ!」
という意見がある一方、
「立ち止まってのんびり考えていたら、時代の変化に取り残されてしまうぞ!」
という主張もある。
世の中では、全く正反対のことが言われているため、どちらを優先すべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、これらの言葉の真意について考察しながら、それぞれのメリット&デメリットについて考えていきたいと思います。
記事の目次
考えてから行動すべきか、行動してから考えるべきか

大前提の話
考えてから行動すべきか、それとも行動してから考えるべきか。
これはどちらも正しいし、絶対的な答えがあるわけでもありません。
なぜなら、一方の意見が100%正しければ、どちらかが消えて、どちらかが残っていなければおかしいからです。
そうではなく、両方の意見がまことしやかに囁かれているということは、どちらにも一理あると言わざるを得ない。

それは何故かというと、我々日本人の多くは、幼い頃から『考えてから動き出す』という教育を長年受けてきました。
そのため、事前に準備をしてから動き出すことは、そんなに苦ではないんですよね。
だけど、無計画で行きあたりばったりに動き出すこと、つまり『行動してから考える』という行為はずっと禁じられてきたため、どうしても苦手に感じる人が多いのです。
そういう理由もあって、僕はいつも『行動してから考える』というほうを重視してさまざまな活動を行なっているわけです。
バランスが大事
フラットな視点で見てみれば、
・考えてから行動する
・行動してから考える
両者は同じくらい大切なことです。
それぞれ必要とされる場面が違うので、その場その場でどちらが適切かを素早く判断し、同じレベルで使いこなせるような能力が求められます。
例えば、「立ち止まって考えろ!」と言われれば冷静に考えることもできるし、「動きながら考えろ!」と言われればすぐに動き出すこともできる。しかも、考えた結果は両者とも同じレベルのものになる。
これが理想の状態だと思います。

巷のなんちゃってコンサルみたいに、「頭で考える前にまずは行動ですよ!」なんて、無責任過ぎてちょっと僕には言えないです。
クドいようですが、重要なのは両方をいつでも自由に使いこなせる人間になること。
そして、多くの場合は後者、つまり行動しながら考えることが苦手ですから、そちらの訓練を中心にやってみるといいと思います。
また、これは後々の話にも繋がってきますが、動きながら考えることができなければ、現代社会を生き抜くうえで限りなく不利になることは紛れもない事実です。
特に、起業や独立を考えている方であれば尚更です。何事も行動が伴わなければ、間違いなく上手くはいきません。
そういう意味でも、動きながら考えることができる人は、それだけでもかなり成功に近い人なんじゃないかと思います。
詳しくは後述するので、今はこのくらいにしておきますが、現時点では「そういうもんなんだな」という風にぼんやりと理解しておいてください。
じっくり考えろ。だけど、行動するときが来たなら、考えるのをやめて進め。

天才指揮官・ナポレオンに学ぶ

見出しのセリフは、かの有名な『ナポレオン1世』の言葉。
幾多の戦争を勝利に導き、人類史上で最も優れた軍人かつ指揮官の1人だと称された偉大な人物です。
また、彼は以下のようなセリフも残しています。

ナポレオンを多少なりともご存知の方であれば、この発言は少し意外に思われるかもしれません。
なぜなら、彼は合理的なイメージが強い人だからです。言行録なんかを見ていても、極めて合理的に物事を判断する人だなぁというのが伺えます。
例えば、彼は「なぜ連戦連勝できるのですか?」と聞かれた際、「私は常に事実だけをみて判断しているので、負けることがないのです」と答えています。
これは、極めて合理的な発言です。「私は客観的事実しか信じない」と言っているわけですから、合理主義者といっても過言ではありません。
そんな彼が、偉大な指揮官になるために重要なのは、『冷静な計算』と『勘』であると断言したわけです。
これはちょっと驚きでした。

なぜなら、その前に「好機と幸運の賜物にするな」と言っており、要するにこれは「好機と幸運のおかげではない」という意味だからです。
我々の知っている勘の定義によれば、勘とは偶然であり運のようなもの。
例えば、
「当たったら儲けもの!」
「運良く当たった、ラッキー!」
という意味合いで使われることが多いです。
だけど、ナポレオンは明確にそれを否定しています。冷静な計算と勘によるんだけど、それは運じゃないと断言しているわけです。
では、ナポレオンがここで意味している『勘』とは何なのか?
結論だけを言ってしまえば、いわゆる『直観知』や『暗黙知』と呼ばれるものだろう、と。
それは、決して運や偶然に支えられたものではなく、ひたすらに自分を突き詰めて、努力して、追い込んで、そうやって限界まで考え抜いた先にパッと閃くような知見のこと。
それが『直観知』と呼ばれるものです。
もはや、それは理屈やロジックで捉えられるものではない。何だかよく分からないけれど、いきなりパッと理解されるものなんだ、というある種の長嶋茂雄的な発想ですね(笑)。
つまり、ナポレオンは、冷静な計算をしつつ、直観知も働いている。
偉大な戦略を立てる人間にとって、この両輪は必要不可欠であり、それらをお互いに補完し合うような状態がベストだと説いているわけです。

論理的思考の限界
ナポレオンの発言は、全くの真理だと思います。
例えば、計画や予定を作るときに、重要なのは論理だけじゃありません。
もちろん、論理は大事ですが、それと併せて直観知のようなものが必要不可欠になってきます。
だから、論理の面ばかり強調している、あるいは行動や閃きばかり強調している。どちらでも構いませんが、そういった人たちの主張が正しいとは到底思えない。
恐らく、本質が見えていないか、何かを隠しているかのどちらかだと思います。
本質が見えてないのであれば、まだ可愛げがあります。もっと頑張ればいいだけの話ですから。
だけど、真実をあえて隠して、何らかの利益を得るためにポジショントークをしているのであれば、それは若干タチが悪いと言わざるを得ません。
論理だけでもダメだし、閃きだけでもダメです。計画や戦略を立てる際は、この両輪があって初めて機能するのです。
そして、これは次の話にも繋がっていきますが、論理ばかりを重視している人は結局『計画倒れ』に終わってしまう可能性が高いんですよね。
その理由について、以下で詳しく書いていきます。
なぜ、多くの予定は『計画倒れ』になってしまうのか?

合理≠現実
なぜ、多くの予定は『計画倒れ』になってしまうのか?
これは、もう簡単です。
察しの良い方はお気づきかもしれませんが、論理一辺倒になってしまうからです。
論理が重要であることは何度でも強調しますが、それだけでは必ず限界がやってきます。
論理的な人というのは、一般的には頭が良く思われ、無条件に称賛される傾向が強いです。
そして、論理的に立てた計画は、非論理的に立てた計画よりも、よっぽど実現可能性が高いように思われます。
だけど、現実はそんな風にはできていない。行動経済学を少しでも囓ったことがある人であれば、よくご存知だと思います。
この世界というのは、全く合理的にはできていないんですよ。
有名な話で『囚人のジレンマ』があります。ゲーム理論のモデルの1つで、お互い協力するほうが協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、という不可思議な現象のことです。
まぁ、詳しく知りたい方はGoogle様に尋ねてみて欲しいんですが・・・。
とにかく、この世っていうのはロジカルにはできていない。それなのに、非合理なものを合理的に描写しようとすれば、そこに無理が生じてくるのは当然です。
どんなにやる気があったって、合理一辺倒で立てた計画というのは、遅かれ早かれ上手くはいきません。それは絵に描いた餅であって、計画倒れになってしまいます。
そのため、何かしらの計画を立てるのであれば、ナポレオンが仰るように「冷静な計算をしつつ、直観知も働いている」状態を目指すべきなのです。

これからの時代に求められる力
ここまでの話を踏まえると、現代社会において最も重要なことは『作戦テンポを早めること』だと言えそうです。
作戦テンポとは、その名の通り『意思決定』のスピードのことですが、これが非常に難しい。
なぜなら我々には、
「不十分な計画になるんじゃないか?」
「やっつけ仕事になるんじゃないか?」
「行き当たりばったりになってしまうんじゃないか?」
という恐れがあるからです。
そのせいで、スピードアップが中々できず、何事にも尻込みしてしまったり、何だかんだ悩んだ末に「もういいや!」と投げ出してしまったりするわけです。
昨今、VUCA(ブーカ)という言葉がバズワードになっていますが、現代とは『不確実性』というものが明らかになってきた時代です。
【VUCAとは】
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語。
我々の現実は、不確実性に覆われており、確実なものなんて何もない。そのような予測不能で、目まぐるしく変化の早い時代を我々は生きています。
つまり、事前にいくら考えても一定以上はムダであり、やってみて初めて分かることが大半なわけです。
そう考えると、一生懸命に考えても「労多くして益少し」。非常にコスパが悪いと言わざるを得ません。
特にビジネスの現場は、不確実なことばかりです。ITの進歩とグローバル化の波が押し寄せ、人々の価値観や社会の仕組みが急速に変化しています。
そのような状況の中、事前に計画を練って「よし、これで万全だ!」といって動き出したところで、全く予期せぬ事態に遭遇することは珍しくありません。
だったら、作戦テンポを上げて、何か問題が起こる度に1つずつ修正していくほうが圧倒的に早いじゃないか、と。
例えば、新規プロジェクトを立ち上げるとしましょう。じっくりと商品企画を練って、商品のクオリティも万全に整い、完璧な市場分析も行いました。
構想から一年後、満を持してその商品を発売しても、それが当たるかどうかなんて分からないんです。
VUCA時代では、石橋を叩くようにアイデアを検証している間に、どんどんと社会の状況は変化します。
だったら、まずは市場に商品を投げてみて、そこからフィードバックを受けながら、こまめに軌道修正を繰り返す。
そのほうが、明らかに確度は高いわけです。

計画を立てる際に気をつけるべきこと
不確実な状況が支配している世の中で、事前に完璧な計画を立てるなんて不可能です。
それは、めちゃくちゃノートを綺麗に取っているにも関わらず、本番のテストでなかなか点数が取れない学生と一緒です。
大事なのは完璧な計画を立てることより、自分が打ち立てた目的を実現すること。
そこを履き違えてはいけません。
計画の美しさや完璧さを自己目的化するのではなく、実際に現場に飛び込んでみることで、不確実かつ曖昧な世界が少しずつ見えてきます。
ボンヤリとした世界が、段々と可視化されてくるのです。
そのフィードバックを踏まえて、どんどんと作戦テンポを上げて、それを実行に移していく。
その繰り返しが、現代社会を生き抜くうえで、最も効率的なアプローチなんじゃないかと思います。
最後に
考えてから行動すべきか、それとも行動してから考えるべきか。

必要とされる場面が違うので、その場その場でどちらが適切かを素早く判断し、ぜひ同じレベルで使いこなせるように頑張ってみてください。
例えば、「考えてから行動しろ!」と言われれば立ち止まって考えることもできるし、「行動してから考えろ!」と言われればすぐに動き出すこともできる。しかも、考えた結果は両者とも同じレベルのものになる。
これが理想的な状態だと思います。
で、多くの場合は直観知能力、つまり行動しながら考えることが苦手ですから、そちらの訓練を中心にやってみるといいのではないでしょうか。
今日お伝えしたことは、何か計画を立てる際に、とても重要な部分なので、ぜひ肝に銘じて欲しいなぁと思います。
また、何か質問などあればこちらからドシドシと送ってください。必ず目を通して、今後のコンテンツ作りの参考にさせてもらうので、そういった意味でも気軽に感想やメッセージを頂けたら嬉しいです。
以上、最後まで読んでくれてありがとうございました。